激愛 最果タヒ 彼女とわたしはいくつかの炎が自分たちのせいで制御不能に陥ったことを知っていたが黙っていた、火をつける�...
超愛 最果タヒ 聞きに行ったのにうるさいと思ってしまって、この食事はまずいですと言われて泣いているあなたを抱き寄せた�...
友達 最果タヒ 脳内でグーパーしている掌がある、そこにぼくは命中させたくて涙を流している、そんなことをしたってこの掌の主�...
記憶はいつも断面図しか見えない、あなたにはその全貌が見えるのだろう、ぼくの瞳の形をしているそれはあなたのことを見ているだろう、冬の...
春 最果タヒ 知らんって言えるなら言いたい、あなたの命のことも誰かの命のことも。七夕の飾りみたいな魂が、夜空からいくつもぶら下がっ�...
雑記 私は仕事をしている版元のことはどこも尊敬しているし、もちろん強く恩義を感じている版元もいくつかある。つねに仕事をしたいと思う...
2020年生まれ 最果タヒ ぼくが戦おうとするとき、飛び散る破片や声についてきみは同じように傷ついて、目を耳を塞いでしまう、それは�...
疲れているし、わからないし、きみはだんだん誰かを忘れていく、ぼくも忘れていく、そうやって疲れている時は真っ白な穴が頭の中にあいて、...
美しいだけのあなた、あなたが隠すものが見える気がして、みんなあなたに恋をする。もう、何を燃やした炎なのかわからない、美しい赤と白の...
女子校 花が咲いているけれど、根っこにしか脳がないと、私にはわかるのに、かわいいと言った、私は花の赤いところ白いところ、黄色いと�...
ぼくは命について簡単に捉えすぎだと思う、誰も死ななければいいと、誰かが死んでしまったあとも願っている。本当は祈りなんて何度も踏み潰...
マスク2枚にだいぶへこんでしまって、いつの間にか寝てしまっていた。感染してしまった人、その人たちを大切に思っている人が今抱えている...
死なせたくないと思うことに嘘偽りなんてないんだが、それが生々しい感触を持つことにぼくは本当は耐えられない。美しい花が見えて、ぼくは...
東京、スノードームに閉じ込められたみたいですね。愚かな人を愚かだと言うことに、価値ができてしまっている。ぼくは、あなたの優しさを記...
わたしが信じている音楽は、信じるためには作られていない。だからとっくに氷は割れて、わたしは冷たい海に落ちていっている。けれど、凍っ...
“細胞が膨らんで、呼吸をしている、 噴水の隣で、立ち尽くしている私の影はかさなり、かさなり、 ときどき枝分かれをして、水のなかに飛�...
“ おおきな肉体がすぐ隣で横たわっているような気温。 日差しが、ぼくを切り捨てて、大気が、ぼくの代わりに立ちあがる。 あたたかいもの...
“細胞の隙間にはすべて河が流れ込んで、 血液のふりをしている。 きみが見た海のなかには、 河が流れ込まない海など一つもなかった。 浜�...
“ アンチ・アンチバレンタイン 最果タヒ チョコレートが破裂してこの世界は生まれた。 わたしの肌がとけてすこしずつ流れていく �...
kawatanidesign : > 「グッドモーニング」最果タヒ イラスト/大槻香奈「進化の日」(2015)より デザイン/川谷康久 新潮社